医療費のお知らせが届かない?|医療費控除に使う3つの記録の違い
「これまで届いていた『医療費のお知らせ』が、次は来ないらしい」と気になっている方へ。協会けんぽ(全国健康保険協会)の「医療費のお知らせ」の一斉送付は、令和8年1月の送付で終了しました(全国健康保険協会「医療費のお知らせに関するよくあるご質問」より)。
結論から言うと、医療費控除の記録は「マイナポータル連携」「医療費のお知らせ(依頼して発行)」「領収書」の3つから選べます。e-Taxで申告できる人はマイナポータル連携、紙で申告する人は領収書から明細書を作るのが基本です。どの方法でも保険診療以外の支払い(市販薬・通院の交通費など)は自分で足す必要があります。3つの違いを表で比べます。
- 協会けんぽの「医療費のお知らせ」が届かなくなった理由と、今後の確認方法
- マイナポータル連携・医療費のお知らせ・領収書の3つの違い(比較表)
- どの記録にも載らない支払いと、その足し方
- 領収書を5年残す必要がある場合・ない場合
- 申告方法別「こんな人にはこの記録」
何が変わった?協会けんぽは「届く」から「自分で見る・頼む」へ
「医療費のお知らせ」は、健康保険で受診した記録(いつ・どこで・いくらかかったか)を保険者がまとめて知らせる書類です。協会けんぽでは年1回の一斉送付が令和7年度(令和8年1月送付)で終わり、自分の医療費情報はマイナポータル(国が運営する行政手続きのオンライン窓口)で確認するよう案内されています。
紙の「医療費のお知らせ」が必要な人は、「医療費のお知らせ依頼書」を加入していた協会けんぽの支部へ郵送すれば個別に発行してもらえます。退職した後でも、加入していた期間の分は発行できると案内されています(全国健康保険協会「医療費のお知らせに関するよくあるご質問」より)。
なお、健康保険組合や国民健康保険では、これまでどおり送られてくる場合もあります。「うちは届く?」は、加入先のホームページか会報で確認してください。
3つの記録の比較表
| 比べる点 | マイナポータル連携 | 医療費のお知らせ(紙) | 領収書 |
|---|---|---|---|
| 申告の方法 | マイナンバーカードを使ったe-Tax(確定申告書等作成コーナー) | 紙でもe-Taxでも可 | 紙でもe-Taxでも可 |
| 手間 | 保険診療分が申告書に自動入力される | 明細書の記載を簡略化できる | 1件ずつ集計して明細書を作る |
| 対象の期間 | 毎年2月9日以降、申告する年の1〜12月分を取得できる | 発行された通知に載っている期間のみ | 手元にある分すべて |
| 家族の分 | 事前に「代理人の登録」が必要(家族のマイナンバーカードと利用者登録) | 加入している保険ごとに発行される。家族が別の保険なら、それぞれの保険者で確認 | 家族全員分を合わせて集計 |
| 領収書の保存 | 取得したデータ(医療費通知情報)に含まれる分は不要 | 原本を添付した分は不要 | 確定申告期限等から5年間保存 |
※国税庁 No.1119「医療費控除に関する手続について」、国税庁「医療費控除のマイナポータル連携について」、全国健康保険協会「医療費のお知らせに関するよくあるご質問」の記載をもとに作成。
マイナポータル連携のくわしい使い方や、スマホで薬代を確認する方法は「マイナポータルで薬代確認」の記事でまとめています。
気をつけたい3つの落とし穴
1. マイナポータルの画面を印刷したものは「原本」ではない
国税庁によると、医療費通知情報の原本はデータ(XML形式)です。マイナポータルの画面やPDFを印刷・ダウンロードしたものは、参考として添付はできますが原本ではないため、その分の領収書は5年間の保存が必要です(国税庁 No.1119 より)。紙で申告する人は「印刷したから領収書は捨ててよい」とはなりません。協会けんぽも、紙の申告では「医療費のお知らせ」のコピーではなく原本が必要と案内しています。
2. 記録の金額と、実際に払った額がずれることがある
協会けんぽの「医療費のお知らせ」は1円単位で記載されますが、窓口では10円未満を四捨五入して払っています。また、子どもの医療費助成などの公費負担医療や、高額療養費の払い戻しを受けた場合は、実際の支払額が反映されていません(全国健康保険協会「医療費のお知らせに関するよくあるご質問」より)。医療費控除は「実際に払った額から、保険などで補てんされた額を引いた額」で計算するため、助成や払い戻しがあった月は領収書と見比べて直します。
3. 年の終わりの受診が載っていないことがある
紙の「医療費のお知らせ」は、発行の時点までに届いた記録しか載りません。マイナポータルでも、受診から反映までに時間差があります。申告の前に、秋から年末にかけての領収書と照らし合わせ、抜けている月は領収書から明細書に書き足します。
どの記録にも載らない支払い
マイナポータル連携も「医療費のお知らせ」も、元になっているのは健康保険の記録です。そのため、医療費控除の対象になり得る次のような支払いは載りません。これらは領収書をもとに、自分で明細書に追加します。
- 治療のために買った市販薬(かぜ薬など。ビタミン剤など予防・健康増進のためのものは対象外)
- 通院のための電車・バス代(自家用車のガソリン代・駐車場代は対象外。タクシー代は電車やバスが使えない場合などに限る)
- 保険がきかない治療の費用のうち、治療のためのもの
※対象・対象外の例は国税庁 No.1122「医療費控除の対象となる医療費」より。はり・きゅうや整骨院・接骨院の柔道整復療養費は、保険診療分でもマイナポータル連携で取得できない場合があります(国税庁「医療費控除のマイナポータル連携について」より)。
医療費控除の計算のしかたや、確定申告までの流れは「医療費控除の超基本5ステップ」で、年末までに準備しておくことは「医療費控除の10月からの準備チェックリスト」で確認できます。
こんな人にはこの記録
| こんな人 | おすすめの記録 |
|---|---|
| マイナンバーカードがあり、スマホやパソコンでe-Taxをする | マイナポータル連携+市販薬・交通費などは領収書から追加 |
| 税務署に紙で提出したい・e-Taxは使わない | 医療費のお知らせ(原本)+載っていない分は領収書から明細書を作成。協会けんぽの人は依頼書で発行を頼む |
| 子どもの医療費助成や高額療養費の払い戻しを受けた月がある | どの方法でも、その月は領収書と照合して実際の支払額に直す |
| 家族の加入している保険がそれぞれ違う | マイナポータルで家族の代理人登録をするか、各保険者の記録と領収書を合わせる |
相談の目安
- 記録に載っているはずの受診が見当たらない → 加入している保険者(協会けんぽの支部など)に問い合わせる
- 医療費控除の対象になるか判断に迷う支払いがある → 国税庁のタックスアンサーを確認し、それでも迷えば税務署に相談する
- 薬局の領収書の金額と記録が合わない → 受け取った薬局で、助成や負担割合の扱いを確認する
まとめ
- 協会けんぽの「医療費のお知らせ」の一斉送付は令和8年1月で終了。今後はマイナポータルで確認するか、依頼書で個別に発行を頼む
- e-Taxならマイナポータル連携、紙の申告なら医療費のお知らせの原本か領収書が基本
- 市販薬・通院の交通費などは、どの記録にも載らないので領収書から足す
- マイナポータルを印刷したものは原本ではない。領収書は捨てずに5年保存
- 助成や高額療養費の払い戻しがあった月は、記録の金額をそのまま使わない
年が明けてから慌てないよう、今のうちに家族の領収書を1つの封筒にまとめておくだけでも、申告の手間はぐっと減ります。
参考資料
- 全国健康保険協会「医療費のお知らせに関するよくあるご質問」(2026年10月閲覧)
- 国税庁 No.1119「医療費控除に関する手続について」(2026年10月閲覧)
- 国税庁 No.1122「医療費控除の対象となる医療費」(2026年10月閲覧)
- 国税庁「医療費控除のマイナポータル連携について」(PDF)(2026年10月閲覧)