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OTC類似薬の別途負担|2027年3月から何が変わる?5つの疑問

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尾崎 拓也(薬剤師・調剤薬局経営者)が執筆・監修
和歌山県内で調剤薬局を経営。本記事は現役薬剤師としての実務経験と公的資料に基づいています。 プロフィールはこちら

市販薬(OTC医薬品)と成分が同じ処方薬、いわゆる「OTC類似薬」について、2027年(令和9年)3月1日から、保険はそのまま使えるものの、通常の1〜3割負担に加えて「薬剤費の4分の1」を別途負担するしくみが始まります(厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しについて」より)。

結論から言うと、「保険が使えなくなる」わけではなく、子ども・がんや指定難病の治療・入院中などは対象外です。ニュースで不安になった方がよく抱く5つの疑問に、厚生労働省の資料をもとに答えます。

※この記事は、厚生労働省の公表資料をもとに、制度の概要を一般向けにまとめたものです。対象となるかどうかは、実際には医師の診察を踏まえて判断されます。制度の細かな運用は今後変わることがあるため、最新の情報は厚生労働省のページでご確認ください(2026年10月時点)。
📋 この記事でわかること
  • 「OTC類似薬の別途の負担」はいつから、どんなしくみか
  • 対象になる薬の種類(解熱鎮痛薬・去痰薬・便秘薬・抗アレルギー薬・保湿剤など)
  • 3割負担の人で、窓口の支払いがどのくらい増えるかの目安
  • 別途の負担がかからない人・場合(子ども、がん・指定難病、入院中など)
  • 2027年3月までに確認しておきたいこと

Q1. 湿布や保湿剤は「保険が使えなくなる」の?

A. いいえ。保険は引き続き使えます。変わるのは、対象の薬の薬剤費(薬そのものの値段)の4分の1について、ふだんの1〜3割の自己負担とは別に支払うようになる点です。制度の正式な名前は「一部保険外療養」(薬剤費の一部だけを保険の給付から外すしくみ)といいます。

この見直しは、2026年5月29日に成立した「健康保険法等の一部を改正する法律」に盛り込まれたもので、厚生労働省は、保険で処方薬を受け取る人と、保険を使わず市販薬で対応する人との公平性などを理由に挙げています(厚生労働省「医療保険制度改正法が成立しました」より)。

支払いのしくみを図にすると、次のようになります。

対象の薬を処方されたときの支払い(2027年3月〜) 見直し前 保険から(7〜9割) 自己負担1〜3割 見直し後 別途の負担 保険から(7〜9割) 1〜3割 薬剤費の1/4 残りの3/4は通常どおり保険で計算 窓口で払うのは 「別途の負担(黄色)」+「残りの薬剤費と技術料の1〜3割(青)」 ※技術料(診察料・調剤基本料など)は従来どおり。図の幅は割合を簡略化したイメージ

Q2. いつから? どんな薬が対象?

A. 2027年3月1日からで、対象は77成分・1,042品目です。厚生労働省の資料では、対象は「OTC医薬品と成分、投与経路が同一で、一日最大用量が異ならない医療用医薬品」とされ、分類として抗アレルギー薬、鎮痛消炎剤、胃腸薬、去痰薬、皮膚保湿剤等が挙げられています(厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について(医療保険部会とりまとめ)」より)。

厚生労働省のページに載っている有効成分の一覧から、薬局でよく見かけるものを抜き出すと次のとおりです。

分類 一覧に含まれる成分の例
解熱鎮痛薬・湿布などロキソプロフェンナトリウム水和物、イブプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、フェルビナク
抗アレルギー薬フェキソフェナジン塩酸塩、ロラタジン
便秘薬酸化マグネシウム、ピコスルファートナトリウム水和物
去痰薬L-カルボシステイン
皮膚の保湿剤ヘパリン類似物質、白色ワセリン

※厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しについて」の有効成分一覧(令和9年3月1日施行時点)より一部を抜粋。同じ成分でも、剤形や用量によって対象かどうかが変わるため、ご自身の薬は薬剤師にご確認ください。

Q3. 支払いはいくら増えるの?

A. 3割負担の人で、5日分の解熱鎮痛薬なら数十円、30日分の便秘薬や抗アレルギー薬なら190〜250円の増加が、厚生労働省の示す目安です。

薬(日数) 見直し前 見直し後 参考:OTC医薬品
解熱鎮痛薬(5日分)50円70円約500円
去痰薬(5日分)50円70円約1,500円
便秘薬(30日分)360円550円約2,000円
抗アレルギー薬(30日分)540円790円約1,000円

※厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について(医療保険部会とりまとめ)」より。3割負担の場合の薬の部分だけの比較で、別に初診料や調剤基本料などの技術料がかかります。OTC医薬品は、資料作成時に確認できたネット上の最安額です。

薬の部分だけを見ると、見直し後もOTC医薬品を買うより安いケースが多い、というのが厚生労働省の試算です。一方で、受診すると診察料や調剤の費用もかかるため、「軽い症状で、薬の名前もわかっている」ときは市販薬のほうが手間も費用も少ないことがあります。処方薬と市販薬の費用の考え方は、セルフメディケーション税制の記事もあわせてご覧ください。市販薬の購入費が一定額を超えると、確定申告で所得控除を受けられる制度です。

Q4. 別途の負担がかからない人・場合は?

A. 次のような場合は、対象の薬でも別途の負担はかかりません(厚生労働省「OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しについて」「医療保険部会とりまとめ」より)。

  • 子ども:18歳に達する日以後の最初の3月31日まで(高校3年生の年度末までが目安)
  • がんの治療、またはがん治療に関連して生じた状態への使用
  • 指定難病(または18〜20歳の小児慢性特定疾病)と、それに関連した状態への使用
  • 国の公費負担医療での使用、生活保護で医療扶助を受ける場合
  • 入院中の使用(退院時に出る薬を含む)
  • 検査・処置・手術に伴う使用(その後14日分まで)
  • 医師が、年間を通じた症状の持続と治療の継続性を確認し、長期の使用が医療上必要と認めた場合(飲み薬は50週=1年を超える場合など)
  • 市販薬にはない効能・効果で使う場合(例:フェキソフェナジンを蕁麻疹や湿疹のかゆみに使う場合)
  • 市販薬の添付文書で「服用しないこと」とされている妊婦・授乳婦などに、特定の対象医薬品を使う場合

注意したいのは、がんや指定難病の方でも「関連のない症状」に使う場合は負担の対象になる点です。また、重度の変形性膝関節症への湿布や、アトピー性皮膚炎以外への皮膚保湿剤などは、令和10年度末(2029年3月末)までの経過措置として別途の負担の対象外とされています(厚生労働省「医療保険部会とりまとめ」より)。

Q5. 「先発薬の特別の料金」とは別のもの?

A. 別の制度です。ジェネリックがある先発薬(長期収載品)を希望したときにかかる「特別の料金」は、2026年6月から先発薬とジェネリックの価格差の2分の1相当になっています(厚生労働省「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について」より)。OTC類似薬の別途の負担は、これとは計算のしかたも対象も異なります。

そのため、2027年3月以降は「先発薬を選んだことによる特別の料金」と「OTC類似薬の別途の負担」の両方が、明細に出てくる可能性があります。先発薬の特別の料金の試算方法は、先発薬の特別の料金を自分で試算する記事で解説しています。

2027年3月までに確認しておきたいこと

  1. いま継続して使っている薬の成分名を確認する:お薬手帳や薬の説明書で、保湿剤・湿布・便秘薬・抗アレルギー薬などの成分名を見ておきます。
  2. 対象になりそうなら、薬局で相談する:同じ成分でも、使う目的や病気、使っている期間によって対象外になることがあります。最終的には医師の診察を踏まえて判断されます。
  3. 自己判断で受診や薬をやめない:厚生労働省も「今後も、症状に応じ必要な受診を行っていただくことが可能です」としています。
⚠️ 費用より受診・相談を優先したいとき
  • 市販薬を添付文書に書かれた期間使っても症状がよくならない、くり返す
  • 高い熱が続く、痛みが強い、息苦しさ・ひどい便秘や腹痛があるなど、いつもと違う症状がある
  • 持病で治療中、妊娠中・授乳中、ほかに薬を飲んでいて、市販薬との飲み合わせが心配
  • 費用が理由で、処方された薬を減らしたりやめたりしたいと考えている(まず医師・薬剤師に相談を)
📝 まとめ
  • 2027年3月1日から、OTC類似薬は保険を使いつつ「薬剤費の4分の1」を別途負担するしくみになる
  • 対象は77成分・1,042品目。解熱鎮痛薬、去痰薬、便秘薬、抗アレルギー薬、保湿剤などが含まれる
  • 3割負担の人で、30日分の便秘薬なら360円→550円が厚生労働省の目安(技術料は別)
  • 子ども、がん・指定難病の治療、入院中、長期使用が医療上必要な場合などは対象外
  • 先発薬の「特別の料金」とは別の制度。気になる薬は、成分名をもとに薬局で相談を

参考資料

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療・服薬指導の代替となるものではありません。体調や薬について気になることがあれば、医師・薬剤師にご相談ください。制度・金額は公開時点の情報に基づきます。詳しくは利用規約・免責事項をご覧ください。

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