先発薬の特別の料金を自分で試算|厚労省リストの調べ方4ステップ
この記事では、先発医薬品(もともとの開発メーカーの薬)を希望したときにかかる「特別の料金」が、自分の薬だといくらになるのかを、厚生労働省のリストで調べて試算する手順を紹介します。
結論から言うと、特別の料金は「リストに載っている"価格差の2分の1"の金額 × 飲む量」に消費税を加えた額が目安です。2026年6月から、この料金は先発医薬品と後発医薬品(ジェネリック)の価格差の4分の1から2分の1に引き上げられました。リストの見方さえわかれば、薬局に行く前に数分で見当をつけられます。
- 「特別の料金」がかかる薬・かからない場合
- 厚生労働省の対象医薬品リストで自分の薬を探す4ステップ
- リストの4つの数字(薬価・後発品最高価格・価格差の2分の1など)の読み方
- 実際の薬を例にした1か月分の試算
- 先発医薬品を続けたい・やめたいときの相談のしかた
まず確認:「特別の料金」はどんなときにかかる?
対象になるのは、長期収載品(ちょうきしゅうさいひん:同じ成分のジェネリックが発売されている先発医薬品)です。そのうち国が対象として指定した薬を、患者さんの希望で選んだときに、通常の1〜3割負担とは別に「特別の料金」を支払います(厚生労働省 患者向けチラシ「先発医薬品を希望した場合の自己負担の仕組み」より)。
| 場面 | 特別の料金 |
|---|---|
| "使用感"や"味"など、効き目に関係のない理由で先発医薬品を希望した | かかる |
| 医師などが、先発医薬品を使う医療上の必要があると判断した | かからない |
| 流通の問題などで、医療機関や薬局にジェネリックの在庫がなかった | かからない |
| そもそも同じ成分のジェネリックがない先発医薬品 | 対象外 |
※上の表は、厚生労働省の患者向けチラシのQ&A(Q1・Q3・Q4)の内容を整理したものです。過去にジェネリックで副作用が出たことがある場合などは、医師・薬剤師に相談するよう案内されています。
制度のしくみそのものや、よくある疑問は選定療養(長期収載品)のよくある疑問5選で詳しく解説しています。この記事では「自分の薬で、いくらになるか」を調べることに絞ります。
自分の薬の料金を調べる4ステップ
- 薬の名前と規格をメモする
お薬手帳や薬の説明書(薬剤情報提供書)を見て、「品名」と「規格(5mg、20mgなど)」、1日に飲む量、処方日数を書き出します。同じ薬でも規格によって金額が違います。 - 厚生労働省の対象医薬品リストを開く
厚生労働省「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について」のページに、対象医薬品リストがPDFとExcelで掲載されています。2026年10月時点では「令和8年6月版」が最新です。 - 品名で検索する
PDFならページ内検索(パソコンはCtrl+F、スマホはブラウザの「ページ内を検索」)で品名を入力します。リストに載っていなければ、その薬は特別の料金の対象外です。 - 「価格差の2分の1」の数字に、飲む量を掛ける
1錠(1カプセル)あたりの金額に、1日の量と日数を掛けると、特別の料金のおおよその額が出ます。これに消費税分が加わります。
リストの4つの数字の読み方
リストには、品名・成分名・規格・メーカー名のあとに、金額の列が4つ並んでいます。例として、胃酸を抑える薬「ネキシウムカプセル20mg」の行(令和8年6月版)を見てみます。
| 列の名前 | 例の値 | 意味 |
|---|---|---|
| 薬価 | 48.20円 | 先発医薬品1カプセルの公定価格 |
| 後発医薬品最高価格 | 33.70円 | 同じ成分のジェネリックのうち、いちばん高い価格 |
| 長期収載品と後発医薬品の価格差の2分の1 | 7.25円 | 特別の料金の計算に使う金額(1カプセルあたり) |
| 保険外併用療養費の算出に用いる価格 | 40.95円 | 健康保険が使える部分の価格(通常の1〜3割負担はこちらにかかる) |
ジェネリックがいくつもある場合は、いちばん高いジェネリックとの差で計算します(厚生労働省 患者向けチラシより)。そのため「後発医薬品最高価格」の列があります。
つまり先発医薬品の薬価は、「保険が使える部分」と「特別の料金」の2つに分かれます。特別の料金は全額自己負担で、ここに保険は使えません。
試算してみよう:1か月分でいくら?
リストの数字を使って、1日1錠(1カプセル)を30日分処方された場合の特別の料金を計算すると、次のようになります。
| 品名(規格) | 価格差の2分の1 | ×30日分 |
|---|---|---|
| ネキシウムカプセル20mg | 7.25円 | 約218円+消費税 |
| ザイザル錠5mg | 9.30円 | 約279円+消費税 |
| クレストール錠5mg | 3.30円 | 約99円+消費税 |
※1錠あたりの金額は厚生労働省 対象医薬品リスト(令和8年6月版)の値です。実際の請求では端数処理があるため、ちょうど2分の1にならないことがあります(厚生労働省 患者向けチラシより)。
1か月では数百円でも、3種類・1年間続けると数千円になることもあります。逆に、価格差がごく小さい薬では特別の料金も小さくなります。「先発を続けるかどうか」は、まず金額を知ってから考えるのがおすすめです。
- 規格違い:同じ品名でも「5mg」と「10mg」で金額が違います。必ず規格まで合わせます。
- 窓口の総額ではない:試算できるのは特別の料金だけです。これとは別に、保険が使える部分の1〜3割負担と、調剤の費用がかかります。薬剤料以外の費用はこれまでと変わりません(厚生労働省 患者向けチラシより)。
- リストは更新される:薬価改定などでリストの金額や対象医薬品は変わります。必ず最新版を見ます。薬価が変わるしくみは薬価改定のしくみの記事で解説しています。
金額がわかったら:相談のしかた
- ジェネリックに切り替えてよい場合:処方箋を出すときに薬局でそう伝えれば、特別の料金はかかりません。在庫の状況によっては取り寄せになることもあります。供給の事情はジェネリックの供給不安・限定出荷の記事も参考にしてください。
- 先発医薬品でないと困る理由がある場合:以前ジェネリックで副作用が出た、などの事情は、医師や薬剤師に具体的に伝えます。医療上の必要があると判断されれば、特別の料金はかかりません。
- 使い心地で先発医薬品を選びたい場合:選ぶことはできます。その場合は特別の料金を支払うことになるので、試算した金額と比べて決めましょう。
なお、2027年3月1日からは、市販薬(要指導医薬品・一般用医薬品)との代替性が特に高い医療用医薬品について、一部を保険外とする別のしくみが始まる予定です(厚生労働省保険局医療課 事務連絡 令和8年9月30日より)。対象や計算方法の詳細は、公表され次第あらためて確認が必要です。
- リストに載っているかどうか、どの規格かがわからないときは、お薬手帳を持って薬局で薬剤師に確認する
- ジェネリックに変えたあとに体調の変化や気になる症状が出たときは、自己判断で飲むのをやめず、医師・薬剤師に相談する
- 会計に特別の料金が含まれていて理由がわからないときは、薬局で明細書を見ながら説明を求める
- 2026年6月から、特別の料金は先発医薬品とジェネリックの価格差の2分の1相当になった
- 対象は、厚生労働省の対象医薬品リストに載っている長期収載品。載っていなければ対象外
- 目安は「価格差の2分の1」の列 × 1日量 × 日数 +消費税(端数処理あり)
- 医療上の必要がある場合や、ジェネリックの在庫がない場合はかからない
- 金額を知ったうえで、続けるか切り替えるかを医師・薬剤師と相談する