💊 おくすり代チェック

「薬が多すぎて飲むのが大変…」ポリファーマシーと服用薬剤調整支援料のよくあるケースを薬剤師が解説

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尾崎 拓也(薬剤師・調剤薬局経営者)が執筆・監修
和歌山県内で調剤薬局を経営。本記事は現役薬剤師としての実務経験と公的資料に基づいています。 プロフィールはこちら

「最近、薬の種類が増えて飲むのが大変になってきた」「10種類近く出ているけど、本当に全部必要なの?」——Q&Aサイトや薬局の窓口でこうした声をよく見かけます。複数の病院や診療科にかかる高齢の方を中心に、「多剤服用(ポリファーマシー)」は薬代の負担増だけでなく、体への悪影響にもつながりかねない問題です。

※この記事は、薬局でよくあるケースをもとに再構成した一般的な例であり、特定の実話ではありません。薬の整理・変更は必ず医師・薬剤師と相談のうえ行ってください。
📋 この記事でわかること
  • ポリファーマシーとは何か(何種類から問題になるのか)
  • 多剤服用がもたらすリスクと薬代への影響
  • 薬を減らせる「服用薬剤調整支援料」という制度のしくみ
  • 患者側にできること・薬剤師への相談のしかた

よくあるケース:薬が10種類近くなり飲み忘れ・副作用が続いている

たとえばこのようなケースがあります。

ケース:Aさん(78歳・男性)

内科・整形外科・泌尿器科の3か所を受診しているAさん。高血圧・糖尿病・前立腺肥大に加え、整形外科では腰痛の薬も出ており、合計9種類の薬を毎日服用していました。

「薬を飲むのが毎朝の仕事になってしまっている」「最近、ふらつきが出て転びそうになった」と薬局の薬剤師に相談。確認すると、複数の薬が血圧を下げる作用を持っており、起立性低血圧を起こしやすい状態になっていることが分かりました。

薬剤師は、各薬の処方意図・重複・相互作用を整理した上で、主治医に「減薬提案書(トレーシングレポート)」を送付。その後の受診で2種類が整理され、Aさんのふらつきは改善傾向になりました。

何が起きていたか:ポリファーマシーのリスク

「ポリファーマシー」は、単に薬が多いだけでなく、多剤服用によって有害な問題が生じている状態を指します。一般的に6種類以上の薬を服用している場合が目安とされており、厚生労働省のガイドラインでも特に注意を要するとされています。

種類数 主なリスク
1〜5種類 比較的管理しやすい範囲
6種類以上 副作用・相互作用の発生率が急増。転倒・認知機能低下・入院リスクとも関連
10種類以上 飲み間違い・飲み忘れが増え、薬効評価も困難になりやすい

75歳以上の4人に1人が7種類以上の薬を処方されているというデータもあります。複数の医療機関を受診していると、同じような作用の薬が重複して処方されていたり、ある症状を抑えるために処方した薬が新たな副作用を生んでいたりすることがあります。

⚠ 薬代への影響:薬が1種類増えると、薬代そのものだけでなく、調剤基本料・薬剤料・指導料などが積み重なるため、月々の薬局での負担も増えやすくなります。不要な薬を整理するだけで、月数百〜数千円の節約につながるケースもあります。

薬剤師が使える制度:服用薬剤調整支援料とは

薬剤師が「このまま薬が増え続けるのはよくない」と判断したとき、一定の条件のもとで積極的に処方医に連絡・提案できる制度があります。それが「服用薬剤調整支援料」です。

服用薬剤調整支援料1(125点)
6種類以上の内服薬が処方されている患者さんについて、薬剤師が減薬に向けた取り組みを行い、実際に2種類以上の薬が減少した(かつ4週間以上維持された)場合に算定できます。
服用薬剤調整支援料2(110点・90点)
6種類以上の場合に薬剤師が薬の一覧・重複・相互作用・服用状況をまとめた文書(トレーシングレポート)を処方医に送付した場合に算定できます。減薬の実現より、処方医への情報提供・連携が評価される仕組みです。

患者さんから見ると「薬剤師が自分の薬の問題を医師に橋渡ししてくれる」制度です。かかりつけ薬局をきちんと決めていると、こうした継続的なフォローを受けやすくなります。

患者側にできること

① お薬手帳を1冊にまとめる
複数の病院・薬局の処方を1冊の手帳に集約することで、薬剤師が全体を把握しやすくなります。アプリ(電子お薬手帳)でも可能です。
② 「薬が多い・体調変化が気になる」と相談する
ふらつき・食欲不振・眠気など普段と違う症状が出ていたら、薬剤師に伝えてみましょう。副作用が疑われる場合は処方医に連絡できます。
③ かかりつけ薬局を1か所に絞る
薬局を1か所にまとめると、薬剤師が複数の病院の処方を継続して把握できます。分散受け取りでは重複に気づきにくくなります。
薬剤師のひとこと:「薬を減らしてほしいのに、医師には言いづらい」という声をよく聞きます。そんなときは、まず薬局の薬剤師に相談してください。患者さんの代わりに処方医に状況を伝えるのも薬剤師の役割のひとつです。「薬が多くて心配」「最近体調が変わった気がする」という気づきから、ポリファーマシーの改善につながることがあります。
📝 まとめ
  • ポリファーマシー=多剤服用で有害な問題が生じている状態。6種類以上が目安
  • 副作用・転倒・認知機能低下・薬代増加など、体にも家計にも影響する
  • 薬剤師は「服用薬剤調整支援料」として、減薬の提案や処方医への情報提供ができる
  • 患者側にできる最初の一歩は「お薬手帳を1冊にまとめてかかりつけ薬局に見せる」こと
  • ふらつき・食欲低下・眠気など体調変化は薬の影響の可能性も。まず薬剤師に相談を

「薬が増えてきたのが心配」「複数の病院にかかっているので整理してほしい」という方は、かかりつけ薬局の薬剤師にぜひ声をかけてみてください。薬代の節約にもつながるかもしれません。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療・服薬指導の代替となるものではありません。体調や薬について気になることがあれば、医師・薬剤師にご相談ください。制度・金額は公開時点の情報に基づきます。詳しくは利用規約・免責事項をご覧ください。

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