「薬が多すぎて飲むのが大変…」ポリファーマシーと服用薬剤調整支援料のよくあるケースを薬剤師が解説
「最近、薬の種類が増えて飲むのが大変になってきた」「10種類近く出ているけど、本当に全部必要なの?」——Q&Aサイトや薬局の窓口でこうした声をよく見かけます。複数の病院や診療科にかかる高齢の方を中心に、「多剤服用(ポリファーマシー)」は薬代の負担増だけでなく、体への悪影響にもつながりかねない問題です。
- ポリファーマシーとは何か(何種類から問題になるのか)
- 多剤服用がもたらすリスクと薬代への影響
- 薬を減らせる「服用薬剤調整支援料」という制度のしくみ
- 患者側にできること・薬剤師への相談のしかた
よくあるケース:薬が10種類近くなり飲み忘れ・副作用が続いている
たとえばこのようなケースがあります。
内科・整形外科・泌尿器科の3か所を受診しているAさん。高血圧・糖尿病・前立腺肥大に加え、整形外科では腰痛の薬も出ており、合計9種類の薬を毎日服用していました。
「薬を飲むのが毎朝の仕事になってしまっている」「最近、ふらつきが出て転びそうになった」と薬局の薬剤師に相談。確認すると、複数の薬が血圧を下げる作用を持っており、起立性低血圧を起こしやすい状態になっていることが分かりました。
薬剤師は、各薬の処方意図・重複・相互作用を整理した上で、主治医に「減薬提案書(トレーシングレポート)」を送付。その後の受診で2種類が整理され、Aさんのふらつきは改善傾向になりました。
何が起きていたか:ポリファーマシーのリスク
「ポリファーマシー」は、単に薬が多いだけでなく、多剤服用によって有害な問題が生じている状態を指します。一般的に6種類以上の薬を服用している場合が目安とされており、厚生労働省のガイドラインでも特に注意を要するとされています。
| 種類数 | 主なリスク |
|---|---|
| 1〜5種類 | 比較的管理しやすい範囲 |
| 6種類以上 | 副作用・相互作用の発生率が急増。転倒・認知機能低下・入院リスクとも関連 |
| 10種類以上 | 飲み間違い・飲み忘れが増え、薬効評価も困難になりやすい |
75歳以上の4人に1人が7種類以上の薬を処方されているというデータもあります。複数の医療機関を受診していると、同じような作用の薬が重複して処方されていたり、ある症状を抑えるために処方した薬が新たな副作用を生んでいたりすることがあります。
薬剤師が使える制度:服用薬剤調整支援料とは
薬剤師が「このまま薬が増え続けるのはよくない」と判断したとき、一定の条件のもとで積極的に処方医に連絡・提案できる制度があります。それが「服用薬剤調整支援料」です。
患者さんから見ると「薬剤師が自分の薬の問題を医師に橋渡ししてくれる」制度です。かかりつけ薬局をきちんと決めていると、こうした継続的なフォローを受けやすくなります。
患者側にできること
- ポリファーマシー=多剤服用で有害な問題が生じている状態。6種類以上が目安
- 副作用・転倒・認知機能低下・薬代増加など、体にも家計にも影響する
- 薬剤師は「服用薬剤調整支援料」として、減薬の提案や処方医への情報提供ができる
- 患者側にできる最初の一歩は「お薬手帳を1冊にまとめてかかりつけ薬局に見せる」こと
- ふらつき・食欲低下・眠気など体調変化は薬の影響の可能性も。まず薬剤師に相談を
「薬が増えてきたのが心配」「複数の病院にかかっているので整理してほしい」という方は、かかりつけ薬局の薬剤師にぜひ声をかけてみてください。薬代の節約にもつながるかもしれません。