💊 おくすり代チェック

「介護保険と医療保険、薬代はどっちになるの?」在宅介護でよくある薬代の疑問を薬剤師が解説

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尾崎 拓也(薬剤師・調剤薬局経営者)が執筆・監修
和歌山県内で調剤薬局を経営。本記事は現役薬剤師としての実務経験と公的資料に基づいています。 プロフィールはこちら

「お母さんの薬、介護保険で出るものがあるんですか?」「薬局からの請求額が先月から上がった気がするんですが、介護のぶんが入っているんでしょうか」——在宅介護が始まった直後、ご家族から薬局でよく受ける質問です。医療保険と介護保険は制度が異なり、薬に関わる費用がどちらから出るのか混乱しやすいポイントです。今回は薬局でよくあるケースをもとに、在宅介護での薬代のしくみを薬剤師が解説します。

※ この事例は、薬局でよくあるケースをもとに再構成した一般的な例であり、特定の実話ではありません。費用の目安は2026年時点の制度をもとにした概算で、実際の金額は医療機関・処方内容・介護認定区分・世帯収入により異なります。
📋 この記事でわかること
  • 薬(処方薬)は医療保険から出る——介護保険から薬は出ない
  • 介護保険の「居宅療養管理指導費(薬剤師訪問)」とは何か
  • 薬剤師訪問サービスの費用の目安・回数・申し込み方
  • 在宅介護で薬代が高くなりやすいパターンと対処のポイント
  • ケアマネへの相談のしかたと薬局の上手な活用法

よくあるケース:薬局からの請求書の内訳がわからなくなった

田辺さん(49歳)は、77歳の母と同居しながら介護を担っています。母は骨粗しょう症と高血圧で複数の医療機関を受診しており、昨年に要介護1の認定を取得。週2回ヘルパーが来て、月1回はかかりつけ医の訪問診療があります。

「先月から薬剤師さんが自宅に来てくれるようになったんですが、薬局からくる明細の内容がよくわからなくて。介護保険と医療保険で何がどっちから出てるのか、合計いくらかかっているのかも整理できなくて困っています」と窓口で相談されました。

何が起きていたか——2種類の費用が同じ薬局の明細に混在していた

田辺さんのお母さんの場合、薬局から届く明細書には2種類の費用が含まれていました。①医師が処方した薬の調剤費(医療保険)と、②薬剤師が自宅を訪問して服薬管理をサポートする「居宅療養管理指導費(介護保険)」です。両方が同じ薬局から一括で請求されることが多く、混乱しやすいポイントです。

まず押さえておきたい大原則があります:「処方薬の薬代は必ず医療保険から出ます。介護保険から薬そのものが出ることはありません。」

💡 在宅介護での「薬に関わる費用」の整理
医療保険から出るもの ・処方薬の薬代(調剤費) ・調剤基本料・各種加算 ・介護認定のない方への訪問薬剤管理 自己負担は通常1〜3割 VS 介護保険から出るもの ・居宅療養管理指導費(薬剤師訪問) ・デイサービス・ヘルパー費用 ・福祉用具(薬そのものは対象外) 自己負担は原則1割(所得で異なる)

※ 薬(処方薬)の費用は常に医療保険の対象です。介護保険から直接「薬が出る」ことはありません。

薬剤師が伝えたこと——「居宅療養管理指導(薬剤師)」のしくみと費用

田辺さんのお母さんが受けている「薬剤師の訪問」は、介護保険の「居宅療養管理指導(薬剤師)」というサービスです。要介護・要支援の認定を受けた方が対象で、薬剤師が月1〜4回程度自宅を訪問し、服薬状況の確認・飲み忘れ防止・副作用チェック・医師やケアマネへの情報共有などを行います。

項目 内容
対象者 要支援1・2または要介護1〜5の認定を受けた方(医師の指示書が必要)
費用の目安 1回あたり560〜650円程度(介護保険1割負担の場合)。月2回まで算定が基本(末期がん等は週2回まで)
訪問の内容 服薬状況・飲み忘れの確認、副作用チェック、一包化・残薬整理のサポート、医師・ケアマネへの報告
申し込み先 かかりつけ医またはケアマネジャー(介護支援専門員)に相談し、指示書を発行してもらう
薬代との関係 訪問サービス費用(介護保険)と薬代(医療保険)は別々の制度だが、同じ薬局がまとめて明細を発行することが多い

読者へのアドバイス:在宅介護の薬代を整理するためのポイント

✅ 薬代が「高くなった?」と感じたときに確認すること
  • 明細書を医療保険分・介護保険分に分けて確認する——「調剤料」は医療保険、「居宅療養管理指導費」は介護保険から出ている
  • 介護保険の支給限度額に余裕があるか確認——居宅療養管理指導費は支給限度額の枠内で使うサービス。ケアマネに「限度額のうち何割使っているか」を確認しておくと安心
  • 薬の種類・数が多い場合は「ポリファーマシー」の確認を——複数科の処方が重複していないか、訪問薬剤師が一括チェックすることで薬が減り、薬代が下がるケースもある
  • 一包化(1回分まとめて袋詰め)でミスを防ぐ——薬の種類が多い方には飲み忘れ・飲み違い防止に効果的(一包化加算がかかる場合あり)
Q. ケアマネに相談すれば薬剤師の訪問を手配してもらえる?

はい。「薬の管理が不安」「飲み忘れが多い」という場合は、まずケアマネジャーに相談するのがスムーズです。ケアマネが医師・薬局と連携して、ケアプランに組み込んでくれます。かかりつけ薬局に直接「在宅訪問に対応していますか?」と聞くこともできます。

Q. 在宅になったら薬代が高くなる?

薬の内容・処方日数が変わらなければ調剤費自体は同じです。新たに加わるのは「居宅療養管理指導費」(介護保険1割負担で月1,000〜1,300円程度)や「一包化加算」などです。一方、薬の整理によって不要な薬が減り、結果的に薬代が下がるケースも少なくありません。

Q. 複数の病院の処方を1か所の薬局にまとめられる?

まとめることができます。複数の医療機関の処方箋を1か所の「かかりつけ薬局」に集めると、薬の重複・飲み合わせを一括でチェックできます。「かかりつけ薬剤師制度」も活用すると、担当の薬剤師が継続して管理する体制が整います。在宅介護を機にかかりつけ薬局を一本化することをお勧めします。

まとめ:薬代は医療保険・薬剤師の訪問サービスは介護保険から
処方薬の薬代は常に医療保険から出ます。介護保険の「居宅療養管理指導(薬剤師)」は薬剤師が自宅を訪問してサポートするサービスで、月1〜2回程度・1割負担で利用できます。「薬の管理が不安」「明細の内容がよくわからない」という方は、まずケアマネジャーや薬局の薬剤師にご相談ください。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療・服薬指導の代替となるものではありません。体調や薬について気になることがあれば、医師・薬剤師にご相談ください。制度・金額は公開時点の情報に基づきます。詳しくは利用規約・免責事項をご覧ください。

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