「薬の数が多すぎて心配…」ポリファーマシーのよくあるケースと「服用薬剤調整支援料」で薬代も体も軽くなる話を薬剤師が解説
「毎朝飲む薬だけで10錠以上ある」「薬の数がどんどん増えているのに体の調子がすっきりしない」「どれを飲んでどれをやめてもいいのか、自分では判断できない」——薬局の窓口でこうした声を耳にすることは少なくありません。これはポリファーマシー(多剤服用)とよばれる状態で、複数の病院に通う高齢の方に多くみられます。今回は薬局でよくあるケースをもとに、ポリファーマシーのリスクと、薬剤師がどうサポートできるかを解説します。
- ポリファーマシーとは何か・何種類から問題になるか
- 薬が増えることで起きやすい副作用・飲み忘れ・薬代増のリスク
- 「服用薬剤調整支援料」とは何か・どんな流れで減薬できるか
- 薬局に「薬が多すぎる」と相談するときの伝え方フレーズ
- 薬の数が減ると薬代がどのくらい変わるか
よくあるケース:毎朝11種類の薬を飲む山田さん(75歳)
75歳の山田さんは、高血圧・糖尿病・変形性膝関節症・前立腺肥大の4つの病気で内科・整形外科・泌尿器科の3病院に通っています。それぞれの病院から処方された薬を合わせると毎日11種類。毎朝の薬の準備が負担になり、「飲み忘れが増えた」「薬がこんなに多くて大丈夫なのか」と不安を抱えていました。
- 内科(高血圧):降圧薬×2種・利尿薬×1種
- 内科(糖尿病):血糖降下薬×2種・コレステロール薬×1種
- 整形外科(膝痛):NSAIDs(痛み止め)×1種・胃薬×1種
- 泌尿器科(前立腺):α1遮断薬×1種
- 自己購入(市販):便秘薬×1種・睡眠補助薬×1種
ある日、山田さんが「めまいと立ちくらみが続く」と薬局の薬剤師に相談しました。全処方薬と市販薬を一緒に確認したところ、複数の薬が血圧を下げる方向に重なって働いており、血圧が下がりすぎている可能性が浮かび上がりました。
何が起きていたか——ポリファーマシーのリスク
山田さんのような状態をポリファーマシー(polypharmacy)といいます。日本では「6種類以上の薬を服用している状態」が目安とされており、薬の数が増えるほど副作用リスク・服薬管理の困難さ・薬代の増加が重なりやすくなることが医学的に示されています。
薬剤師が行った対応——「服用薬剤調整支援料」とは
山田さんのケースで薬剤師が活用したのが「服用薬剤調整支援料」という仕組みです。6種類以上の薬を服用している患者に対し、薬剤師が薬の内容を整理して医師に減薬を提案する報告書を作成。実際に2種類以上減らせた場合に算定できる加算です(2026年時点で125点/月)。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① 全薬の棚卸し | 処方薬・市販薬・サプリをすべて一覧化。重複・相互作用・不必要な薬を洗い出す |
| ② 医師への提案書 | 「この2剤は類似効果が重複している」「副作用の観点から優先順位を下げられる」など根拠を添えて文書で提案 |
| ③ 医師の判断・調整 | 提案を受けた医師が次回受診時に処方を見直す。どの薬を減らすかは医師の判断が最終 |
| ④ 継続モニタリング | 2種類以上の減薬が実現した場合に支援料を算定し、その後も薬の数を定期確認 |
山田さんのケースでは、薬剤師の提案書を受けた主治医が次回受診で処方を見直した結果、11種類→8種類に削減。めまいの原因だった薬の重複が解消され体調が改善し、薬代も月約1,500円分の節約につながりました。
読者へのアドバイス:「薬が多い」と感じたら薬局に相談を
- 「飲んでいる薬の数が多くなってきたので、整理してもらえますか?」
- 「複数の病院からもらっているので、相互作用が心配です」
- 「この薬、全部本当に必要なのか確認してほしいのですが」
- 市販薬・サプリも必ず申告する——処方薬と市販薬が重複していたり相互作用があることも多い
- お薬手帳に全て記録する——複数病院の薬をまとめることで薬剤師がチェックしやすくなる
- かかりつけ薬局を1か所に絞る——全薬を一括管理すれば重複・相互作用の発見率が上がる
- 自己判断でやめない——急に中止すると危険な薬もあるため、必ず相談の上で
よくある疑問 Q&A
複数の診療科・病院に通うほど薬が積み重なりやすく、ポリファーマシーの状態では副作用・転倒・認知機能の低下リスクが高まります。「薬が多いな」と感じたら、まずかかりつけ薬局の薬剤師に相談してみてください。薬代の節約だけでなく、体調改善につながることも少なくありません。