💊 おくすり代チェック

「薬の数が多すぎて心配…」ポリファーマシーのよくあるケースと「服用薬剤調整支援料」で薬代も体も軽くなる話を薬剤師が解説

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尾崎 拓也(薬剤師・調剤薬局経営者)が執筆・監修
和歌山県内で調剤薬局を経営。本記事は現役薬剤師としての実務経験と公的資料に基づいています。 プロフィールはこちら

「毎朝飲む薬だけで10錠以上ある」「薬の数がどんどん増えているのに体の調子がすっきりしない」「どれを飲んでどれをやめてもいいのか、自分では判断できない」——薬局の窓口でこうした声を耳にすることは少なくありません。これはポリファーマシー(多剤服用)とよばれる状態で、複数の病院に通う高齢の方に多くみられます。今回は薬局でよくあるケースをもとに、ポリファーマシーのリスクと、薬剤師がどうサポートできるかを解説します。

※ この事例は、薬局でよくあるケースをもとに再構成した一般的な例であり、特定の実話ではありません。費用の目安は2026年時点の制度をもとにした概算で、実際の金額は薬局・処方内容により異なります。
📋 この記事でわかること
  • ポリファーマシーとは何か・何種類から問題になるか
  • 薬が増えることで起きやすい副作用・飲み忘れ・薬代増のリスク
  • 「服用薬剤調整支援料」とは何か・どんな流れで減薬できるか
  • 薬局に「薬が多すぎる」と相談するときの伝え方フレーズ
  • 薬の数が減ると薬代がどのくらい変わるか

よくあるケース:毎朝11種類の薬を飲む山田さん(75歳)

75歳の山田さんは、高血圧・糖尿病・変形性膝関節症・前立腺肥大の4つの病気で内科・整形外科・泌尿器科の3病院に通っています。それぞれの病院から処方された薬を合わせると毎日11種類。毎朝の薬の準備が負担になり、「飲み忘れが増えた」「薬がこんなに多くて大丈夫なのか」と不安を抱えていました。

📋 山田さんの処方薬(一例)
  • 内科(高血圧):降圧薬×2種・利尿薬×1種
  • 内科(糖尿病):血糖降下薬×2種・コレステロール薬×1種
  • 整形外科(膝痛):NSAIDs(痛み止め)×1種・胃薬×1種
  • 泌尿器科(前立腺):α1遮断薬×1種
  • 自己購入(市販):便秘薬×1種・睡眠補助薬×1種

ある日、山田さんが「めまいと立ちくらみが続く」と薬局の薬剤師に相談しました。全処方薬と市販薬を一緒に確認したところ、複数の薬が血圧を下げる方向に重なって働いており、血圧が下がりすぎている可能性が浮かび上がりました。

何が起きていたか——ポリファーマシーのリスク

山田さんのような状態をポリファーマシー(polypharmacy)といいます。日本では「6種類以上の薬を服用している状態」が目安とされており、薬の数が増えるほど副作用リスク・服薬管理の困難さ・薬代の増加が重なりやすくなることが医学的に示されています。

⚠️ 薬の数が6種類を超えると起きやすいこと
⚠️ 副作用・ 相互作用リスク↑ (6種類超で急増) 😔 飲み忘れ・ 服薬管理が困難に (高齢者で特に顕著) 💰 薬代・ 医療費が増加 (余分な薬代が積み重なる) 🏥 転倒・入院 リスク↑ (高齢者は特に注意)

薬剤師が行った対応——「服用薬剤調整支援料」とは

山田さんのケースで薬剤師が活用したのが「服用薬剤調整支援料」という仕組みです。6種類以上の薬を服用している患者に対し、薬剤師が薬の内容を整理して医師に減薬を提案する報告書を作成。実際に2種類以上減らせた場合に算定できる加算です(2026年時点で125点/月)。

ステップ 内容
① 全薬の棚卸し 処方薬・市販薬・サプリをすべて一覧化。重複・相互作用・不必要な薬を洗い出す
② 医師への提案書 「この2剤は類似効果が重複している」「副作用の観点から優先順位を下げられる」など根拠を添えて文書で提案
③ 医師の判断・調整 提案を受けた医師が次回受診時に処方を見直す。どの薬を減らすかは医師の判断が最終
④ 継続モニタリング 2種類以上の減薬が実現した場合に支援料を算定し、その後も薬の数を定期確認

山田さんのケースでは、薬剤師の提案書を受けた主治医が次回受診で処方を見直した結果、11種類→8種類に削減。めまいの原因だった薬の重複が解消され体調が改善し、薬代も月約1,500円分の節約につながりました。

読者へのアドバイス:「薬が多い」と感じたら薬局に相談を

💬 薬局で使えるフレーズ例
  • 「飲んでいる薬の数が多くなってきたので、整理してもらえますか?」
  • 「複数の病院からもらっているので、相互作用が心配です」
  • 「この薬、全部本当に必要なのか確認してほしいのですが」
✅ 薬を整理するときの重要ポイント
  • 市販薬・サプリも必ず申告する——処方薬と市販薬が重複していたり相互作用があることも多い
  • お薬手帳に全て記録する——複数病院の薬をまとめることで薬剤師がチェックしやすくなる
  • かかりつけ薬局を1か所に絞る——全薬を一括管理すれば重複・相互作用の発見率が上がる
  • 自己判断でやめない——急に中止すると危険な薬もあるため、必ず相談の上で

よくある疑問 Q&A

Q. 服用薬剤調整支援料は患者が自分で申し込むもの?

基本的には薬剤師が判断して提案しますが、患者さんから「薬を整理してほしい」と相談することで実施しやすくなります。「薬が多くて心配」と一言伝えるだけで十分です。

Q. かかりつけ薬局でなくても相談できる?

相談自体はどこの薬局でもできますが、複数病院の薬を横断的にチェックするにはかかりつけ薬局を1か所に絞るのが最も効果的です。継続フォローも可能になります。

Q. 薬を減らすと病状が悪化しないか心配

薬剤師から医師への提案はあくまでも「検討のお願い」で、最終判断は医師が行います。病状に必要な薬をやめるわけではなく、重複・過剰になっている部分を整理するのが目的です。自己判断での中止は絶対に避けてください。

Q. 市販の胃薬や睡眠補助薬も「薬の数」に数えるべき?

はい、薬剤師はOTC薬・サプリメントも含めた全体像を確認します。市販薬でも処方薬と重複・相互作用が起きる可能性があるため、必ず申告してください。

Q. 薬が減ると薬代の節約はどのくらいになる?

薬の種類・用量によって異なりますが、慢性疾患で常用している薬が1〜2種類減ると月500〜2,000円前後の節約になるケースが多くみられます。年間にすると6,000〜24,000円の差になることもあります。

まとめ:薬は「増えっぱなし」でよいわけではありません
複数の診療科・病院に通うほど薬が積み重なりやすく、ポリファーマシーの状態では副作用・転倒・認知機能の低下リスクが高まります。「薬が多いな」と感じたら、まずかかりつけ薬局の薬剤師に相談してみてください。薬代の節約だけでなく、体調改善につながることも少なくありません。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療・服薬指導の代替となるものではありません。体調や薬について気になることがあれば、医師・薬剤師にご相談ください。制度・金額は公開時点の情報に基づきます。詳しくは利用規約・免責事項をご覧ください。

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