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「毎月の注射薬が高くて続けられない…」バイオシミラー(バイオ後続品)に切り替えたよくあるケースを薬剤師が解説

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尾崎 拓也(薬剤師・調剤薬局経営者)が執筆・監修
和歌山県内で調剤薬局を経営。本記事は現役薬剤師としての実務経験と公的資料に基づいています。 プロフィールはこちら

「関節リウマチの注射を始めてから、薬代が月に何万円もかかるようになった」「主治医から"バイオシミラーに変えませんか"と言われたけど、同じ効果があるか不安で…」——高額な生物学的製剤(バイオ医薬品)を使用している患者さんから、こうした声がよく聞かれます。今回は、バイオシミラー(バイオ後続品)への切り替えについてよくあるケースをもとに薬剤師が解説します。

※ この事例は、薬局でよくあるケースをもとに再構成した一般的な例であり、特定の実話ではありません。薬の切り替えは必ず担当の医師・薬剤師にご相談ください(2026年7月時点の情報をもとにしています)。
📋 この記事でわかること
  • バイオシミラー(バイオ後続品)とはどんな薬か
  • 先行バイオ医薬品(オリジナル)との違いと安全性
  • 切り替えで窓口負担はどう変わるか(費用の目安)
  • 切り替えを検討するときの相談の流れ
  • よくある疑問Q&A

よくあるケース:関節リウマチの生物学的製剤の費用に悩んでいた

伊藤さん(55歳)は関節リウマチの治療として、病院で月1回の皮下注射による生物学的製剤を受けていました。「効果はとても実感できている」と話す一方、窓口での毎月の薬代が2万円台後半になっており、「ずっと続けられるかどうか不安」という状況が続いていました。

ある受診日に主治医から「バイオシミラーが出ているので、切り替えてみませんか。薬の効果は変わらないはずです」と提案がありました。伊藤さんは処方箋を持って薬局を訪れた際に、薬剤師へ「バイオシミラーって何ですか?先生に勧められたんですが、やっぱり先行品のほうがいいですか?」と相談しました。

何が起きていたか——生物学的製剤の高額な薬価と後続品のしくみ

関節リウマチ・骨粗しょう症・がん・炎症性腸疾患など幅広い疾患に使われる生物学的製剤(バイオ医薬品)は、微生物・細胞を使って製造される大分子の薬です。開発コストが非常に高いため薬価も高く、月数万円に及ぶことも珍しくありません。

バイオシミラー(バイオ後続品)とは、先行バイオ医薬品の特許が切れた後に別のメーカーが承認取得して発売する後続品です。化学合成薬のジェネリック(後発医薬品)とは異なり、分子構造が非常に複雑なため「まったく同一のコピー」は製造できませんが、臨床試験によって先行品と「同等の有効性・安全性」があることを証明したうえで承認されます。

💡 先行品とバイオシミラーの関係
先行バイオ医薬品 (オリジナル) 高薬価・特許期間中 → 特許切れ後 臨床試験で同等性を証明 → 厚生労働省が承認 → バイオシミラー (バイオ後続品) 先行品の約70%の薬価

※ バイオシミラーの薬価は原則として先行バイオ医薬品の70%に設定されます。患者さんの窓口負担も同様の割合で下がります。

薬剤師の解説①:バイオシミラーとジェネリックは何が違う?

よく「バイオシミラーもジェネリックと同じもの?」という疑問をお聞きします。どちらも「先行品の特許が切れた後に発売される後続品」という共通点はありますが、大きな違いがあります。

ジェネリック医薬品(後発品) バイオシミラー(バイオ後続品)
主な原薬の特性化学合成・小分子生物(細胞)製造・大分子
先行品との同一性主成分は化学的に同一同一ではないが「同等性・同質性」を証明
承認に必要な試験生物学的同等性試験(比較的シンプル)品質・非臨床・臨床試験(新薬に準じた多くの試験)
薬価の目安先行品の約50〜70%先行品の約70%(原則)

バイオシミラーは「まったく同じもの」ではありませんが、その差は「有効性や安全性に影響しない許容範囲内にある」と国が確認したうえで承認しているものです。

薬剤師の解説②:切り替えの安全性は?「免疫原性」という論点

バイオシミラーへの切り替えで患者さんが特に気になるのが「急に変えて副作用が出ないか」という点です。バイオ医薬品では、体内で薬に対する抗体(抗薬物抗体)が産生されることがあり、これを「免疫原性」と呼びます。

現在の学会・厚生労働省の考え方(2026年時点)
適切な管理下での切り替えは多くの国際的ガイドラインで認容されています。日本リウマチ学会・各種ガイドラインでも、医師・薬剤師の適切な管理のもとであれば切り替えは許容されるとされており、政府も普及促進を積極的に進めています。ただし、切り替えに際しては主治医が患者さんの状態を確認しながら進めることが重要です。

伊藤さんのケースでも、「急に変えて効かなくなるのでは?」という不安があましたが、薬剤師から「切り替え後も定期的な診察で効果のモニタリングが行われること」「もし効果に変化が出た場合はすぐに主治医に報告すること」を説明し、安心して切り替えを決断することができました。

薬剤師の解説③:窓口負担はどう変わる?費用の目安

バイオシミラーへの切り替えで患者さんの窓口負担がどう変わるか、具体的にイメージしておくことが大切です。

項目 先行バイオ医薬品 バイオシミラー
薬価の目安(例)100%とした場合約70%(原則)
3割負担の目安(月額)2〜3万円台(薬剤による)1〜2万円台程度に下がることも
高額療養費への影響薬代が高額療養費の計算に含まれる薬代が下がることで、高額療養費の自己負担額が変わる場合がある

※ 実際の窓口負担は薬の種類・用量・保険区分・高額療養費の適用状況によって異なります。具体的な金額は薬局または病院会計窓口にご確認ください。

💡 高額療養費に達していた方は節約効果が変わります

毎月の医療費が高額療養費の限度額に達していた場合、バイオシミラーに切り替えて薬代が下がっても、限度額以下にならなければ窓口負担は変わりません。一方で、切り替えで限度額以下になれば節約効果が実感できます。自分の状況に当てはまるか、薬剤師や医療機関に相談してみましょう。

よくある疑問Q&A

Q. バイオシミラーへの切り替えは患者が希望すれば必ずできる?

切り替えは主治医の判断と同意のうえで行われます。患者さんが希望を伝えることはできますが、疾患の活動性・治療状況・医師の判断によって、切り替えのタイミングや可否が決まります。「費用が大変なのでバイオシミラーを検討したい」と主治医や薬剤師に相談してみましょう。

Q. どんな薬にバイオシミラーがある?(2026年時点)

主な疾患領域での例としては、関節リウマチ・クローン病・乾癬に使われるTNF阻害薬(インフリキシマブBS・エタネルセプトBS・アダリムマブBSなど)、骨粗しょう症に使われるデノスマブBS、がん・血液疾患に使われるリツキシマブBS・トラスツズマブBSなどが日本で承認されています。ただし、先行品の種類によってバイオシミラーが存在するかどうかは異なります。担当医・薬剤師にご確認ください。

Q. 切り替え後に効果が落ちたと感じたらどうすればいい?

切り替え後に関節の痛みが増えたと感じた場合などは、すぐに主治医に報告してください。先行品に戻すことも選択肢のひとつです。「気のせいかな」と思っても、正直に伝えることが大切です。

Q. 「バイオ後続品調剤体制加算」って何?

2024年度の診療報酬改定でバイオ後続品の使用促進に関する加算が設けられています。薬局でバイオシミラーに切り替える際に加算される場合がありますが、薬代の節約効果のほうが大きいのが一般的です。明細書に記載があった場合は薬剤師に説明を求めると内容を確認できます。

📮 まとめ:バイオシミラーは「主治医・薬剤師と相談しながら」
  • バイオシミラーは臨床試験で先行品と同等の効果・安全性が確認されたうえで承認された薬——ジェネリックとは別のカテゴリ
  • 薬価は先行品の約70%が原則——窓口負担が下がることで毎月の負担を減らせる可能性がある
  • 切り替えは主治医の判断と患者の同意のもとで行われる——「費用が大変」と感じたらまず医師・薬剤師に相談を
  • 切り替え後も定期的な効果確認が重要——変化を感じたらすぐ医師に報告する習慣を
  • 高額療養費との関係もあわせて確認する——節約効果が実感できるかは個人の状況による
「薬代が高くて続けられるか心配…」と感じている方は、ぜひ薬局の薬剤師に声をかけてみてください。
バイオシミラーの有無・切り替えの流れ・費用の変化について、あなたの処方内容をもとに具体的に説明することができます。かかりつけ薬剤師・かかりつけ薬局をうまく活用して、安心して治療を続けてください。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療・服薬指導の代替となるものではありません。体調や薬について気になることがあれば、医師・薬剤師にご相談ください。制度・金額は公開時点の情報に基づきます。詳しくは利用規約・免責事項をご覧ください。

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