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「複数の病院で薬が重なっていた」重複投薬に薬剤師が気づいたよくあるケースと「重複投薬・相互作用等防止加算」のしくみを解説

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尾崎 拓也(薬剤師・調剤薬局経営者)が執筆・監修
和歌山県内で調剤薬局を経営。本記事は現役薬剤師としての実務経験と公的資料に基づいています。 プロフィールはこちら

「内科でもらっている薬と、整形外科でもらっている薬が重なっているんじゃないか」「処方箋を持っていったら薬剤師さんに『念のため先生に確認します』と言われた。何が問題だったの?」——複数の医療機関を受診している方からよく聞かれる疑問です。薬局で「重複投薬・相互作用等防止加算」が明細書に載っていて気になったという声も増えています。今回は、薬局でよくあるケースをもとにこのしくみを薬剤師が解説します。

※ この事例は、薬局でよくあるケースをもとに再構成した一般的な例であり、特定の実話ではありません。費用の目安は2026年時点の制度をもとにした概算で、実際の金額は医療機関・処方内容・薬局により異なります。
📋 この記事でわかること
  • 複数の病院で薬をもらうと起きやすい「重複投薬」のリスク
  • 「重複投薬・相互作用等防止加算」とは何か・算定されるのはどんなとき
  • 薬剤師が処方医に照会して処方が変わるまでの流れ
  • 重複・飲み合わせを防ぐために患者側でできること

よくあるケース:内科と整形外科から似た成分の薬が出ていた

山内さん(67歳)は高血圧の治療で内科に通い、半年前から腰痛で整形外科にも通い始めました。両方の処方箋をかかりつけ薬局に持っていくことも多かったのですが、ある日「今日は整形外科だけ」と整形外科の処方箋のみを持参しました。

薬剤師が処方内容と薬剤服用歴(お薬手帳)を確認したところ、内科で処方されていた「エナラプリル(ACE阻害薬)」に加えて、整形外科から新たに「ケトプロフェン(NSAIDs:非ステロイド性抗炎症薬)」が処方されていることに気づきました。

「ACE阻害薬とNSAIDsを一緒に長期服用すると腎機能に影響が出ることがある」——薬剤師はこの組み合わせを問題と判断し、整形外科の医師に電話で確認を取りました。結果、腰痛の治療薬を腎臓への影響が少ない別系統の薬に変更してもらうことができました。

何が起きていたか——「飲み合わせ」の問題と薬局の役割

山内さんのケースで起きていたのは「相互作用(飲み合わせ)」の問題です。複数の医療機関から薬が出ている場合、それぞれの医師は「自分が処方した薬」の範囲で安全性を確認しますが、他院の処方まではすべて把握しきれないことがあります。

薬局はすべての処方箋を一か所で管理できるため、こうした飲み合わせや重複を発見できる最後の砦としての役割を担っています。

💡 薬局が「相互作用・重複」を発見したときの流れ
処方箋受付+ お薬手帳確認 → 重複・相互作用を発見 (薬歴・他院処方と照合) → 処方医に照会 (電話・文書で確認) → 処方変更または 服薬指導で対応

※ 重複・相互作用を発見・処方医へ照会・変更に至った場合、「重複投薬・相互作用等防止加算」が算定されます。

「重複投薬・相互作用等防止加算」とは何か

薬剤師が処方内容を確認し、薬学的観点から問題を発見して処方医に照会した結果、処方の変更または中止につながった場合に算定できる加算です。処方箋の受付・調剤時に算定されます。

加算の種類 内容 算定点数(目安)
重複投薬等防止加算(残薬調整以外) 重複・相互作用の問題を発見し照会・処方変更に至った場合 40点(3割負担で約120円)
重複投薬等防止加算(残薬調整) 残薬確認から重複発見・処方変更に至った場合 30点(3割負担で約90円)
💡 算定されるのは「処方変更につながったとき」

薬剤師が問題に気づいて照会しても、処方医が「このまま続けて大丈夫」と判断した場合は加算は算定されません。あくまで「照会の結果、処方が変更・中止になった場合」に限り算定できます。明細書に載っていたときは、薬剤師が患者さんのために積極的に動いた証拠とも言えます。

読者へのアドバイス:重複投薬・飲み合わせを防ぐためにできること

✅ 複数の病院・薬局を使っている方へのポイント
  • お薬手帳は必ず持参・提示する——スマートフォンの電子お薬手帳でもOK。他院の処方情報を薬剤師が確認できると安全性のチェックがしやすくなります
  • 複数の病院を受診していることを薬剤師に伝える——「内科と整形外科に通っています」のひと言で、薬剤師がより注意深く確認します
  • 市販薬やサプリメントも伝える——処方薬と市販薬(NSAIDsなど解熱鎮痛薬等)や健康食品の組み合わせも相互作用の原因になりえます
  • かかりつけ薬局を一本化する——すべての処方を1か所の薬局に集めると、薬歴が一元管理されて重複・飲み合わせの発見率が高まります
Q. 薬剤師に照会されると処方してもらうのが遅れる?

照会には多少の時間(数分〜数十分)がかかることがあります。緊急でない場合は後日薬を受け取る「後日渡し」を提案することもあります。安全のための確認ですので、ご理解いただけると幸いです。かかりつけ薬局であれば薬歴がすでにそろっており、照会の機会自体が減る傾向があります。

Q. お薬手帳を持っていなかったら加算は取られない?

お薬手帳の有無に関係なく、薬剤師が薬歴(薬局内の記録)や聞き取りで重複・相互作用を発見して処方変更につながれば算定されます。ただし、お薬手帳や他院処方の情報提示がないと発見が難しくなります。電子版お薬手帳(スマートフォンアプリ)を活用するとどこでも提示できて便利です。

Q. 「相互作用が心配な薬の組み合わせ」を自分でも確認できる?

「一般薬 相互作用」「〇〇 飲み合わせ」で検索すると情報が出てきますが、一般向けサイトの情報には限界があります。最も確実なのはかかりつけ薬剤師に「今飲んでいる薬をすべてチェックしてほしい」と依頼することです。薬剤師は薬の相互作用の専門家です。遠慮なくご相談ください。

まとめ:「重複投薬・相互作用等防止加算」は薬剤師が積極的に関与した証
複数の医療機関を受診しているほど、重複投薬や飲み合わせのリスクが高まります。薬剤師が照会・処方変更につなげた場合にのみ算定されるこの加算は、薬代が少し増える場面でもありますが、安全な薬物療法のために薬剤師が動いた結果でもあります。お薬手帳の提示と「かかりつけ薬局」の一本化が、最も効果的な予防策です。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療・服薬指導の代替となるものではありません。体調や薬について気になることがあれば、医師・薬剤師にご相談ください。制度・金額は公開時点の情報に基づきます。詳しくは利用規約・免責事項をご覧ください。

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